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12月6日(土)開催の報告会「食料問題をめぐる国際議論の潮流 -CFS41 を終えて-」

2014.12.19

12月6日(土)、日本記者クラブにて「食料問題をめぐる国際議論の潮流-CFS41を終えて」と題して、第41回世界食料安全保障委員会(CFS41)の報告会が開催されました。本イベントでは、10月にローマのFAO本部にて開催されたCFS41に参加したNGOが、会議の様子を報告しました。オックスファム・ジャパンからは、アドボカシー・マネージャーの森下が登壇しました。

(CFSの概要を説明するオックスファム・ジャパン、アドボカシー・マネージャーの森下)

まず冒頭では、通算3回目のCFSへの参加となった森下よりCFSの概要を説明しました。CFSは他の国際会議と異なり、市民社会にも合意プロセスが開かれています(第39回CFSへの参加報告ブログはこちら)。そのため、NGOなども会議に参加し、採択される文書の提案や交渉にも実質的に関わることができます。

また、サパ=西アフリカの人たちを支援する会を代表し、則武都子氏がCFS41での家族農業に関する議論を説明しました。2014年は、国連の定めた国際家族農業年ということで、CFS41でも特別セッションが設けられたそうです。世界の農業経営のうち、90%が家族農業と言われ、食料の大部分を生産しています。しかし、工業化された大規模農業の広がりによって、小規模農家は、世界の市場から取り残されている現状も存在します。CFS41では、このような、家族農業が直面する現状や課題、そして可能性について議論されたそうです。

更に、普遍的人権でもある「食の権利」に関連させ、ハンガー・フリー・ワールドの西岡はるな氏より、今回のCFS41の主要議題の一つであった食料廃棄・フードロスの問題について話しました。世界で十分な量の食料が生産されているにも関わらず、飢餓が存在する地域がある一方、大量の食料が廃棄されています。西岡氏からは、フードロスのテーマでまとめられた専門家ハイレベルパネルの報告書の紹介、関連サイドイベントの概要やNGOによる報告書と協議への評価が紹介されました。

そして、最後には、オックスファムの森下がCFSにおける「責任ある農業投資原則(Principles for Responsible Investment in Agriculture and Food Systems))(以下rai原則)」の採択と評価について述べました。報告では、責任ある農業投資に関連したこれまでの議論やその他枠組みの紹介、そしてCFSにおけるrai原則交渉の背景、これまでの経緯とNGOによる評価が紹介されました。rai原則が一番評価される点は、文書が「食料への権利」にしっかりと立脚していること。森下からは、「食料安全保障」が「誰の」食料安全保障かを指すか曖昧であり、そのことによって、必ずしも飢餓問題の解決に直結しないのに対して、「食料への権利」実現のアプローチをとることで、「権利を侵害されている人(飢餓に苦しむ人)」の権利回復に焦点を当てることのできるメリットがあるとの説明がありました(詳しくは、「食料への権利」に関する報告

(会場の様子)

一方で、rai原則をどのように実施に移していくかのガイドライン的要素が欠落していることや、いま注目されている官民連携事業や契約栽培については触れていないなど、rai原則が非常に弱い内容であると評価されました。今後の運用のされ方を注意深く見ていく必要があるとのことです。

最後は、日本農業新聞の齋藤花氏をモデレーターに迎え、会場からの質疑を交えてのパネルディスカッションが行われました。食料という生活に欠かせないトピックが国際的な会議の場でどのように扱われているのか、市民社会がどのように貢献できているのか、また「食料への権利」と同時に生産する人、消費する人も含めた「食料への義務」を先進国は意識すべきなど幅広い話題に議論がおよび、大変充実した内容のイベントとなりました。

報告会の主催、準備運営を担っていただいた国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所、モデレーターを務めていただいた日本農業新聞、共同で報告を行った、サパ=西アフリカの人達を支援する会ならびにハンガー・フリー・ワールド、そしてご来場いただいたみなさまにこの場をお借りして御礼申し上げます。