TOP growとは growブログ 11月22日開催の連続セミナー報告「国際家族農業年について考える」

11月22日開催の連続セミナー報告「国際家族農業年について考える」

2014.11.27

11月22日(土)、明治学院大学にて、オックスファム・ジャパン共催の連続公開セミナー「食べものの危機を考える」、第2回目となる「国際家族農業年について考える―専門家ハイレベル・パネルの現場から」を行いました。講師には、国連世界食料保障委員会専門家ハイレベル・パネルにも参加経験のある、愛知学院大学の関根佳恵氏を招き、家族農業やその現状と可能性というテーマに焦点をあてました。

今回のセミナーでは、まず家族農業をめぐる世界での動き、その現状、そしてなぜ今家族農業が見直されているのか、について特に経済的な点からお話いただきました。

1980年代のGATTウルグアイ・ラウンド交渉、そして1995年のWTO体制移行後、自由な市場、規制緩和の動きが強まりました。農業も例外ではなく、効率性と経済的利益を追求する中で大規模農業が広がっていきました。しかし、農業の大規模化による生産量の増加は、世界の食料問題の解決に必ずしもつながりませんでした。また、石油を始めとする、国際価格の高騰による農家への影響、大規模農業による水資源の枯渇や汚染などの環境上の問題点も見えてくるようになりました。

こうした中、各国・地域・家庭における食料保障の基礎となっているのは小規模家族農業であることや農業の持つ多面的機能という観点から小規模家族農業が近年、再評価されています。例えば、小規模家族農家の単位面積当たりの収量は、大規模農業よりも多いだけでなく、労働集約的であることから雇用創出効果があります。また、小規模だからこそコミュニティ内での強いネットワークを作ることができ、石油への依存度が低く、エネルギー効率の観点からも決して低くはありません。
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講演中の関根氏

関根氏は講義中、また質疑応答中にも「経済の効率性だけでなく、社会的利益にも目を向けるべき」という言葉を何度も繰り返していました。経済の効率という点から見ると、農業は人員コストがかかり効率的ではないかもしれません。しかし、同時に、より多くの人員を雇用することで、多くの人が職につき、食べていくことができるという社会的利益を見出すことができます。この社会的な利益と経済的な利益の両方を考え、バランスを取っていくことが欠かせません。

今日、農業の「近代化」といえば、工業化、そして大規模化と一般的には考えられがちです。しかし、持続的な資源活用を可能にし、また社会的利益を生み出す家族農業や小規模農業こそ新たな農業のあり方と考えることもできます。小規模家族農業は、発展途上国のみならず、日本を始めとした先進国の農業の未来を考える上で重要な役割と大きな可能性を持っていることを考えさせられるセミナーとなりました。

「食べものの危機を考える」、第3回目セミナーは12月8日(月)近畿大学の池上甲一先生をお迎えして「小規模家族農家にとって契約栽培はチャンス?」をテーマに行います。詳しくはこちら