TOP growとは growブログ 12月8日開催の連続セミナー報告「小規模家族農家にとって契約栽培はチャンス?」

12月8日開催の連続セミナー報告「小規模家族農家にとって契約栽培はチャンス?」

2014.12.18

12月8日(月)、明治学院大学にて、オックスファム・ジャパン共催の連続公開セミナー「食べものの危機を考える」、第3回目となる「小規模家族農家にとって契約栽培はチャンス?」を行いました。講師には、近畿大学農学部の池上甲一先生を招き、家族農業や小規模農業の支援、小規模農家の貧困削減の名の下に推進されることの多い契約栽培に焦点を当てました。

今回のセミナーでは、まず契約栽培の概念と形態を整理、その利点や可能性を概観し、そして池上先生が実際に調査を行ったアフリカ諸国での契約栽培の例を紹介した上で、現代的な契約栽培の評価を試みていただきました。
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講演中の池上先生

契約栽培、と一口に言っても、様々な形が存在します。契約内容はもちろん、規模も様々です。そこで、今回は詳しい定義を議論するのではなく、あくまでも一般的な契約栽培について、見ていくことになりました。

契約栽培において、最初に考えられる利点は、リスクの軽減です。栽培者にとっては、購入価格の安定や一定の顧客確保、販売者としては、取引先の確保、品質や生産量の安定、などが考えられます。特に、栽培者は、自分が生産したものを、販売者が直接収集してくれる、つまり自分で市場へ持参しなくて済む、という利点にも大きな期待を寄せています。

このように、理論上、契約栽培は、小規模農家の社会経済的発展の観点から、その効果が十分に期待される農業形態だと捉えることができます。しかし、現実には、契約違反や小規模農家にとって不利な価格設定や決済、支払い方式の横行など、必ずしもその効果が証明されているとはいえません。また、アフリカ(ジンバブエ・ケニア)における具体的事例として、農家の契約における判断材料が少なく、不利な契約を結ばれた事例、またバイヤーと農家の従属的な関係により、農家にとって不利な価格交渉が行われた例などが紹介されました。
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池上先生の話に聞き入る参加者たち

「契約栽培を機能させる最大条件である、均等な権力配分ができていない(契約における情報や権力関係の非対称性)」ことが、契約栽培が小規模農家に利益を必ずしももたらさない大きな要因として指摘されました。また、契約栽培を評価する重要な視点として、小規模農家にとっての「自由度」、つまりある特定の契約栽培を行なうか否かの自由と選択の余地があることを挙げられました。

このような観点から見ると、契約栽培は、総合的な農村発展戦略には相応しくなく、開発事業として推進することは難しいと池上氏は結論付けます。契約栽培とは、特定作物をめぐる特定の商行為に過ぎないからです。

官民連携の呼び声の下、開発援助として推進される契約栽培。こうした動きは、近年のサブサハラアフリカなどでは特に顕著です。しかし、現状の契約栽培は、小規模農家の利益と貧困削減につながっているとは言えません。

契約栽培を開発援助として推進することの妥当性を今一度精査するとともに、契約栽培の実態と構造をしっかりと理解し、その課題や要因を明らかにしていく試みの必要性を再確認したセミナーとなりました。