TOP レボリューション vol.4  洗剤

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洗剤レボリューション!
食べ終わったら、後片付け。
あなたのキッチンでは、どのように食器を洗っていますか?

「台所は海の入り口」 愛知県名古屋市 鶴田紀子さん

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ふるさとの川と、松の力

名古屋のエコブランチというブランドが2000年から「松の力」という洗剤を広めています。代表の鶴田紀子さんは、夫が経営する電熱線・ステンレス線商社で石油ストーブなどに使われる電熱線を販売する中、モデルチェンジしては購買欲をそそる経済の仕組みに疑問を感じていました。

「少しでも地球にいいことをしたい」と、社内外で様々な活動を始めましたが、「環境に良いことをボランティア活動に限定し、仕事自体が、環境保全に貢献するものでなければ、いつまでたっても社会は変わらない」。

そう考えていたとき「松の洗剤」の開発者と出会いました。(株)ユーテックジャポンの吉田又康社長は、子供の頃泳いだふるさとの川がヘドロに変わってしまった原因が昭和37年から大きく普及し出していた合成洗剤にあると知ります。吉田さんは、勤めていた会社を辞め、川をきれいにしたい一心で、「自然」と名のつく洗剤を世界中から集めて研究していました。

合成洗剤に含まれるABSという界面活性剤の一種は、泡立ちと洗浄力で人気がありましたが、分解されにくいため、河川に工場や家庭から排出される沢山の泡がのこりました。70年代には、洗剤に添加されていたリンを栄養分に微生物が増えすぎて赤潮が発生し、魚が多く死ぬ現象も起こりました。その後、メーカーや行政の改善により、成分の見直しや、下水道自体の整備、排水による汚染を防止する法整備が、はじめてなされるようになったのです。

「やさしい植物性」の生産現場でおきていること

成分が植物性ならばいい、というわけではありませんでした。例えば、よく目にする椰子の実(パーム油)を原料とした洗剤は、なんとなく環境に優しいイメージがありますが、高まるパーム油の需要を背景に、原材料のアブラヤシ生産の過程では、大規模な環境破壊や、労働者に対して正当な賃金が支払われないことなどが問題になっています。アブラヤシは、内陸でも育つ西アフリカ原産の植物です。収穫してすぐに加工することが必要なため、工場を隣接させることが必要になり、その工場のシェアを確保するためには、かなり広大な農地が必要になります。

流した成分による川や海の汚染だけでなく、その生産過程における環境破壊や労働者の人権侵害は、みんなが安く大量に洗剤を使う、というキッチンでのわたしたちの生活を支えてしまっているのです。使う人にも安全で、生産地の環境にも配慮した洗剤はないか。吉田さんは取り寄せたものの中から、松の油の洗剤に注目しました。しかし、アメリカから取り寄せた松の洗剤にはリンが入っていたので、それを除去した松の油洗剤の製造方法を研究委託することにしました。

こうしてできたのが、環境負荷が少なく、人体にも安心な「地球家族」という松の洗剤。原材料は、主にブラジルの自然林で無農薬無肥料で植林された松で、パ ルプなどの製造工程で残った材料から取り出される天然由来の界面活性剤の元になるトール油(脂肪酸)と水です。使用して排水となっても、1週間で98%以上成分を分解します。安全性が高い上、柔軟剤のように洗ったものをふんわりとさせる効果や、除菌・消臭効果もあり、使用する洗剤量も少なくて済みます。

「種類別のたくさんの容器をなくす!」—本当に必要か疑ってみる

「地球家族」の販売を始めた鶴田さんは、この画期的な洗剤の普及に、使い手としての視点を提案。既存の洗剤の流通方法を疑い、「もっと使い易く、もっと環境の負荷を減らせる方法はないものか」と考え、食器用、洗濯用とあれこれ沢山のボトルを揃えなくても、ひとつで自分の好みで薄めて何にでも使える「多用途濃縮洗剤」として流通させることにしたのです。

濃度を濃くすることで、使用期限ものびて長持ちし、運送コストと輸送エネルギーも減らすことができます。すぐにゴミになる容器を止め、長持ちする特殊な袋で、使用後は返送してもらった容器に中身のみ詰める充填システムや、量り売りの卸売もはじめました。様々な用途や種類のボトルを並べて、消費と売り上げを増加させるという、これまでの企業のやり方ではなく、一番無駄のないかたちでの流通。共感した人たちにも、またそれを一緒に広めてもらう、という全く新しいやりかたで、全国にファンが増えていきました。



自然食品店などを中心に、全国に大きく小さく、松の力洗剤を広めている人たちがいます。宮崎市で会社を作った福島県からのサーファー3人の会社、UiCompanyの藤田わこさんもその一人。故郷でも暮らしの中で使っていた松の力洗剤をお洒落なパッケージにデザインして、オーガニックマーケットなどで販売しはじめ、海で出会うサーフ仲間たちにも広めています。宮崎に来て、「より生活と海が密着している感じ」を受けたと、藤田さんは話します。

海へつながる台所

高度経済成長期の河川の汚染は、工場からの排水が主な原因でしたが、その法整備がなされて以降は、家庭からの生活排水が最大の汚染源となっています。通産省の統計によると、最近10年間の合成洗剤の販売量は年平均100万トンにのぼります。日本人一人当り年間9キログラム、4人家族なら、一日100グラムもの洗剤を海に流している計算になります。

洗剤だけではありません。例えば米のとぎ汁を1リットル流したとき、600リットル(600倍)の水で薄めないと、魚が棲める水質にはなりません。てんぷら油は20万倍、マヨネーズにいたっては、何と24万倍の水が必要になるそうです。

また、問題の本質は洗剤の種類だけでなく、洗剤の使用量自体の異様な伸びかたにあります。油分を古くなった衣類を切った布切れで、油分を拭く、タライに浸け置きして、水やお湯で落とせる範囲を落とすなど、なるべく洗剤の量を減らしていくことが、まず大事なことかもしれません。また、最近になって再注目されているのが、洗剤を使うことなく汚れを落とすことのできるアクリルたわし。油をあまり使わなかった食事では、これで十分。昔ながらの手編みのものもありますし、最近では、可愛いデザインのものも多く見かけるようになりました。

アースデイ東京や、フジロックフェスティバルなどの音楽フェスイベントでは、学生を中心に環境問題に取り組むA SEED JAPANというグループが中心となり、使い捨てではないリユース容器の導入やゴミの分別、減量などをすすめてきました。そのなかで、紹介されているのが、不用になった衣類などの端切れで、お皿の油分や汚れを拭き取ってから洗う習慣。こんな風に瓶にストックしておくことで、可愛く便利に使えます。

海につながっています!マーク


今回のレボリューションは、UiCompanyがつくった、海につながっています!マークを紹介します。

UiCompany: http://www.ui-company.com/

合成界面活性剤、蛍光増白剤、リン、防腐剤、合成香料、合成着色料など、自然に還らないものは使わない、余分な油分や汚れを工夫して海に流さないようにする約束の印です。自分の家や友だち、実家のキッチン、学校、お店、カフェ、ホテルなどに、このNaturalSoapマークを貼って、水を汚さないようにする日々の生活の工夫とともに、意識をひろめていく試みです。

例えば、宮崎県串間市の市木小学校では、洗剤「松の力」とデイサービスのお年寄りの方々が編んだアクリルたわしを地域に広めることをきっかけに、学校内で使用する洗剤も変更するなど、環境学習に力を入れています。

日々の生活からできることを少しずつ。そしてそれを周りに広めていくことも少しずつ。様々な取組みが各地で広がっています。
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アレルギーだった人から、「すぐに肌質が変わった」など、喜びの声が多い他、よせられる感想のなかには香料に関してのものも多くあります。台所洗剤、シャンプーなど、洗うためのものには何にでも「香り」がついていますが、松の力は無臭。必要以上に強く科学的な香りは、人間の動物としての本能を麻痺させてはいないかと思います。

「松の力」を試してみたいという方は、ぜひこちらから!

http://www.eco-branch.jp/index.html
オンラインショップも用意されています。
株式会社鶴田商会 エコ・ブランチ: 名古屋市西区あし原町10番