TOP レボリューション vol 6. カカオ

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チョコレートからカカオレボリューション!

愛のあるチョコレートを広めたい!チョコレート・アライアンス

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チョコレートをめぐる不公正な貿易

世界中で人々に愛されているチョコレート。原材料であるカカオの年間生産量は270万トン。これは石油、コーヒーについで、世界で3番目に大きい市場です。カカオ豆は、南米原産ですが、今ではアフリカやアジアなど、赤道から南北に20度の範囲の国々で作られています。

世界の年間カカオ貿易の83%は、たった3つの企業によって占められています。一方で、世界のカカオの70%は、カメルーン、コートジボアール、ガーナ、ナイジェリアの小規模農家によって生産されています。買う側と売る側の力関係の大きな差もあって、カカオは、不公正な形で取引される作物の代表格といわれます。

カカオ生産と貿易をめぐる問題

カカオの貿易を巡っては、様々な問題が起きています。例えば、コートジボアールでは、カカオ生産のために、元々あった原生林の14%もが伐採されたといわれ、森林の多くが失われてしまいました。

ガーナでは、児童労働が問題となっています。小さい頃から人手として期待されるので、子どもたちは学校に行くことができずに教育の機会が失われています。また、重いカカオ豆を運ぶことで、背骨が湾曲してしまうなどの問題も生じています。カカオ豆の生産のため、25万人を越える西アフリカの子どもたちが今も働いているといわれています。

カカオ栽培には、様々な農薬が使用されますが、その中には日本では使用が全面禁止のものも含まれています。人体にもっとも危険とされる12種類のうちの9種類を含む30種類の農薬の使用が報告されています。空中散布による環境被害や近隣コミュニティへの影響も指摘されています。こうした農薬は、その適切な取り扱いに関する十分な説明もないままに、農園で雇われた労働者が扱うケースも多いと言われます。近年では、残留農薬がカカオ豆から検出され、食べる側の安全という視点から問題提起がなされていますが、生産に携わる労働者や地域住民の健康、農園周辺の土や地下水の汚染などの問題も同じように深刻です。

「愛のある」フェアトレードチョコレートを広める

美味しいチョコレートをより多く、より安価に求めてきた私たち。しかし、その結果、原材料を作る人々にしわ寄せがいってしまっているのが現状です。そんな中、作る人にも安全で、食べる人にも美味しい、持続可能なカカオの栽培とつながった、フェアトレードのチョコレートを広める取組みも増え、新たなネットワークも拡大しつつあります。

PeopleTree(HP:http://www.peopletree.co.jp/index.html)では、ボリビアの先住民の組合エルセイボが有機栽培するカカオ豆をつかって、スイスの会社が製造するチョコレートを輸入しています。レシチンなどの乳化剤を入れないため、秋冬限定と展開時期が限られますが、その分、混合時間を長くとるため、カカオ本来の味わいが活かされます。

オルター・トレード・ジャパン(HP:http://altertrade.jp/chocoladepapua)では、インドネシアのパプア州で、先住民族が大切に育てているカカオを直接輸入し、製品化しています。生産者の願いは、先住民族としての文化を失うことなく、自分たちの力で豊かな未来を切り開いていくこと。カカオは、そんな願いを実現するための大切な収入源となっています。「カカオで森と暮らしを守りたい」パプアの人びとの想いと、「児童労働がなく、自然を壊すことなく育てられたチョコレートが欲しい」という消費者の声が出会って生まれたチョコレートです。

カカオ生産地でチョコレートを作ろう



カカオの生産地は南の国々。チョコレートの起源は、ヨーロッパの国々が、南米大陸を侵略した際に、カカオ豆を知り、持ち帰って砂糖と混ぜて飲むようになってからだと言われています。今も、旧植民地であった南の国々が、欧米向けに主に原材料としてのカカオを輸出するという構図になっていますが、カカオ豆の原産国でこそ、美味しいチョコレートを作り、より付加価値の高い最終商品として輸出することで、生産国や生産者に利益を確保する取り組みもあります。   南米エクアドル、サリナスという村では、スイスやイタリアから中古の機材を取り入れ、カカオ豆を加工するチョコレート生産をはじめました。アリバ種とよばれる原種に近い香りの高いカカオを、森林農法で栽培している近隣の村から買い取り、標高3500メートルの村の工場に運びます。

日本のフェアトレードの販売などを手がけるスローウォーターカフェ(HP: http://www.slowwatercafe.com/) のメンバーが、初めて工場を訪れた際は窓枠もなく、チョコレートを素手で包んでいる状態でしたが、できる範囲で少しずつ取引をはじめ、最終商品であるチョコレートが国外に出荷されるようになりました。生協の協力を得て、衛生管理マニュアル作成のためのワークショップを開いたり、添加物のレシチンをレシピから取り除くなど、取組みを一つひとつ進め、カカオを砕いてクランチ状にしてチョコに混ぜるなどの新商品も開発。チョコレート工場では働けないメンバーとも一緒に仕事ができるようにと、映画『ショコラ』にヒントを得て、チョコレートを入れる唐辛子型の巾着を村の女性たちと一緒に企画しました。

こうしてできた商品をスタッフが百貨店に並べる写真と共に、『チョコが一役/恋も南米の暮らしも応援』という見出しが、朝日新聞の一面トップに掲載されたのが2007年。この記事がひとつのきっかけとなり、翌年より、全国の百貨店のバレンタイン催事で、「フェアトレード」のコーナーが作られはじめました。また、パティシエたちが、持続可能な方法で生産されたカカオ豆を使う流れも生まれています。

カカオ豆からチョコレートを変える

その渦中に居るのが、小方真由美さん。「こだわってものづくりをするために生産者を知るのが不可欠」というスタンスで、コロンビアをはじめとする世界中のカカオのコミュニティで、生育環境、品質、発酵、乾燥という出荷までのプロセスを、現地の人たちと2人3脚で高める活動をしています。そして、こうして作ったカカオを、質を求めるパティシエたちと繋ぎ、持続的な生産活動を後押ししています。生産プロセスにこだわった美味しいものを求める結果、途上国の小規模生産者のものづくりの基盤が強まるのは、一つの理想的な流れといえそうです。

大企業をも変えていく

フェアトレードへの人々の関心が高まる中、オックスファムでは2013年、世界のチョコレート企業に対し新たなキャンペーンを行いました。チョコレートの生産・加工過程において労働者の処遇や労働環境をめぐる問題がある中、女性は男性に比べてより低い賃金に甘んじることが多いなど、厳しい立場に置かれることが多い存在です。そこで、オックスファムは、合わせて世界で生産されるカカオの30%の買い手であるネスレ社(Nestle)、モンダレズ社(Mondalez)、マーズ社(Mars)に対し、サプライチェーンを通して、ジェンダーに配慮した企業方針を導入するように呼び掛けました。


オンラインでの賛同を呼び掛けたキャンペーン「ブランドの裏側」Behind the Brands では、世界中から6万件以上の署名が集まり、オックスファム内の政策調査班による各企業とのやりとりなどのアドボカシー活動による働きかけとも相まって、キャンペーン開始から2ヶ月後の2013年5月には、3社ともに対応策を取ることを表明。国連の女性のエンパワーメント原則(WEP)に署名するとともに、サプライチェーンにおけるジェンダー影響評価(Gender Impact Assessment)を実施することで合意、その結果が今年4月には発表される予定です。



アメリカで行われたキャンペーンの様子をまとめた映像(英語)


フェアトレードをニッチな市場の取組みとして終わらせることなく、時には企業と連携しながら、そして時には企業へのアドボカシーを通して、ビジネスのあり方も変えていく試みは、チョコレート業界にとどまらない、NGOと企業の関係のあり方へのヒントです。

アライアンスの結成と愛のチョコレート宣言

こうしたそれぞれの取組みが広がりを見せる中、2010年12月、日本でフェアトレードチョコレートの輸入、販売、普及に取り組む企業・団体が連携して、主にバレンタインデーに向けて、愛のあるチョコレートを広めて行くことを目的に「チョコレート・アライアンス」が結成されました。2013年には、フェアトレード商品などを扱うオックスファム・ショップの開店をきっかけにフェアトレードチョコレートの販売を手がけるようになったオックスファム・ジャパンもサポーターとして加わりました。

チョコレート・アライアンスでは、「愛のあるチョコレート」を支持する人を増やし、こうした消費者、団体、企業がつながり、市場における流通量を増やし、継続する循環をつくることを目指しています。百貨店やチョコレート企業などと連携してチョコレートのサステナビリティに関するシンポジウムを開催したり、一般消費者に向けて、愛のあるチョコレートを選ぼう、というキャンペーンを推進。2013年のバレンタインデーから毎年『もうひとつのチョコレート展』という企画展を全国へと展開し、ラジオなどのメディアでも、話題を呼んでいます。

愛のチョコレート宣言
2011.12.22


チョコレートが私たち消費者の手元に届くまでには、その原料となる作物の栽培から加工などを含む長いプロセスがあり、世界中のさまざまな場所で多くの人びとの仕事や暮らしにかかわっています。特にカカオ豆や砂糖などの原材料をつくる国々では、子どもが学校に行けずに働く児童労働や貧困、森林の減少や生物多様性の危機など、生産にまつわるさまざまな問題があります。愛を届けるはずのチョコレートに、愛が足りていないのです。わたしたちは、チョコレートを通じてそれらの問題を解決し、食べる人も、つくる人も、みんなが笑顔になる、愛のチョコレートを増やしていくことをここに誓います。

① つくる人の暮らしを支える
わたしたちは、公正な対価を支払い、顔のみえる継続的な取引関係を築くことで、カカオ豆や砂糖などの原材料やチョコレートをつくる人びとの暮らしやコミュニティを支えます。

② 自然にやさしい
わたしたちは、カカオなどの原材料の栽培において、貴重な原生林や水源を壊したり、有害な農薬などが大地のゆたかさを損なうことのないよう、地域の生態系を守りながらの生産を応援します。

③ 作る人にも食べる人にも安心
わたしたちは、作り手の健康に有害な農薬や化学肥料、安全性が証明されていない遺伝子組換えの原料や合成添加物を極力使用せず、食べる人にも作る人にも安全でおいしいチョコレートを選びます。

④ 子どもを大切にする
わたしたちは、カカオなどの原料の栽培において子どもが危ない労働を強いられることのないよう、農家の暮らしを支え、子どもが学校に行けることをチョコレートで応援します。


⑤ 未来につながる
わたしたちは、チョコレートでつながるすべての人と人、人と自然の関係が未来につながるよう、フェアトレード/有機栽培/森林農法/無添加などのチョコレートを応援します。

オックスファム・ショップのフェアトレードチョコレート
オックスファム・ジャパンが運営する『オックスファム・ショップ』では、ドミニカ共和国のコナカド協同組合との公正な取引のもとに仕入れたカカオ豆から作られたオーガニック・チョコレートなどを販売しています。チョコレートの本場ベルギーで、伝統的製法により大切に作られた、なめらかで美味しいチョコレート。東京・吉祥寺と熊本・久留米の店舗が遠い方は、オンライン・ショップからも購入いただけます!

ドキュメンタリー『バレンタイン一揆』を見に行こう

児童労働に取り組むNPO法人設立15周年記念ドキュメンタリー映画「バレンタイン一揆」。チョコレートの原料であるカカオ豆は、どこで誰が作っているのか。ドキュメンタリーは、ガーナで児童労働の問題と出会い、悩み、闘った、日本の女の子たちの物語。渋谷アップリンクでのロードショー(2013年1月12日~25日)を皮切りに、全国各地で映画館や自主上映会で上映中です。最新の上映スケジュールは、映画『バレンタイン一揆』公式サイトの上映スケジュールをご覧ください。
『バレンタイン一揆』特設サイト:http://acejapan.org/campaign/15th/

今年のバレンタインは愛のあるあるチョコレートを!

愛のチョコレート・マーケットに参加しよう!(1月26日開催)
東京渋谷の代々木公園けやき並木で毎月第三日曜日に開催される東京朝市アースデイマーケットで、1月26日に、チョコレート・アライアンスが、愛のチョコレート・マーケットを開催します。各社のフェアトレードチョコレートを販売する他、カカオ豆を使用したワークショプや、トーク企画などもあります。
詳細はこちらをご覧ください:http://www.earthdaymarket.com/


カカオからチョコレートづくりワークショップ
アライアンスメンバーのslowwatercafeは2005年から、カカオからチョコレートを作るワークショップを企画、全国各地で開催しています。フェアトレードのカカオ豆をフライパンで焙煎し、すり鉢で粉砕する、という行程とスライドによる説明などを通して、手間のかかるチョコレートの製造工程を知り、その貿易にまつわる問題点も解説します。みなさんの、お近くのカフェや教育機関などで、開催してみませんか。
詳細はこちらをご覧ください:https://www.facebook.com/chocoalliance/posts/776679595676733
Ami Fujioka_message
身近な人に愛を伝えあう素敵な日、バレンタインデー。森の豊かな生態系が育んだカカオ豆の力を借りて、地球の生きものが南も北も、自然も人間も、生き生きできるようなLOVEを、一緒に探してみませんか。Love is the Movement!

スローウォーターカフェ(有) 代表 藤岡亜美