TOP レボリューション vol. 7 ココナッツ

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フィリピンから届くココナッツレボリューション!

もともとあった地域の農を応援する ココナッツ専門ブランド ココウェル

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伝統的なココ椰子

水井裕さんは、ココナッツオイル(油)、ココナッツミルクなどの食材や、ココナッツを主な成分としたリップクリームなどの化粧品を、フィリピンの人々と直接つながって開発、展開する、小さなココナッツの専門ブランドを運営しています。


原材料のココ椰子の樹は、20〜30メートルと背が高いため、その下にカカオやバナナ、ハーブ等を植えることができます。最初の実をつけるまでに、7年かかりますが、70年間収穫が可能。そして、農薬を基本的に必要としません。2、3年前に害虫がひろまったことがありましたが、基本的には薬品を使わず管理されています。肥料も必要なく、海水が好きで、まわりに塩をもると成長も早くなり、実も沢山つく、こんな素敵なココ椰子は、フィリピンをはじめ、インド国内、インドネシアなどで古くから栽培されてきました。

外来種のパーム椰子

しかし、フィリピンでは伝統的にココ椰子が栽培されていた土地を売り、外来種のパーム椰子のプランテーション畑にする動きが、後をたちません。洗剤レボリューションでも紹介したように、パーム椰子の生産では、隣接する加工工場の稼働率を確保するために、大規模な森林伐採をして土地を確保する必要や、農薬、化学肥料の使用により、深刻な環境破壊が起きています。


フィリピンでは、伝統的なココナッツの産業を延ばそうと、なんと「ココナッツ庁」を作り、農家に自生する苗を配り植えてもらう、というような取り組みで、少しずつ、生産量を増やしています。ポテトチップやカップラーメンというような世界中で大量に消費されている食材の原材料のパーム椰子は、フィリピンだけでなく世界中で太古の森を壊しています。そんな中、その大きな流れとは違う、元々地域にあった農のあり方を応援する、小さなフェアトレードの取り組みはどうやってはじまったのでしょうか。

地方や農村をどう元気にするか?

水井さんは、環境を学ぶ専門学校に在学時、フィリピンに留学。スモーキーマウンテンと呼ばれるゴミの山の問題を研究テーマにしていました。そこでゴミの山からモノを拾って生計をたてている人たちがいるなかで、ゴミをどう処理するかばかりを話すことに空しさを感じたといいます。問題の本質は、地方から都市に人が移り住み、貧困が作り出されること。根本的な解決には、食料生産の現場である「地方や農村をどう元気にするか」というのが大事だと、実感していました。


そんなとき、バージンココナッツオイルに出会い、「ココ椰子を通じたビジネスでフィリピンの農村を元気にしたい」と思ったのが、ココナッツに関わるようになったきっかけ。その後、紆余曲折を経て起業、会社を運営して、9年目になりました。水井さんが取引をしているココナッツ農家は、フィリピン南部の3カ所に点在しています。加工商品の化粧品などは、マニラで生産しています。

「1本の樹があれば、一家族が生活できる」伝統的な分業の仕事

農家の中でも生産は分業されていて、30メートルもある高い樹に、竹をつないで渡るのは、登り屋さんという専門的な仕事。登って取る仕事を中心的に担うのは男の人ですが、それ以外の全ての作業は、女の人が中心となって進められているそうです。


「ココナッツの好きなところは、捨てるところがなくて、様々な用途に使えること。ココ椰子の木1本に100個から200個の実ができます。昔は「1本の樹があれば、一家族が生活できる」とも言われていました。7年かけて実ができて、70年で実ができなくなるところも、人間っぽくて好きです。」と水井さんは言います。


こうして、ココナッツに惚れ込んだ、水井さんは、ココナッツを専門に扱うことで品質を高めること、安心を確保することを目指してきました。協同組合を作る支援や商品化の段取りなど、農家支援を今後も継続して行いたいと考えています。中心となる商品は、ココナッツオイルと、ミネラル豊富なココナッツシュガー。現在は、化粧品など、様々な商品開発に取り組んでいます。また、将来的には、レストランなどに食材として使ってもらう販路などを作っていきたいと、需要を増やすことにも意欲的です。

「フィリピンだけでなくて、フィジーなどの南太平洋の国々にもココナッツはありますが、まだまだ世界的に活かしきれていません。在来のココナッツに「本当はこんな可能性がある」ということをフィリピンの中で、また、他の国にも発信していきたい。」と永井さんは話します。

大型台風による被害

その矢先、2013年11月にフィリピンで大型台風30号(ハイエン)による歴史上まれにみる大規模な自然災害が起きました。被災地では何十万人もの人が家を失い、安全な水や食料を得られないでいます。地球温暖化によりこうした異常気象は今後も増加すると考えられています。水井さんは会社からの支援金と、呼びかけによる資金をあつめ、直接物資を届ける活動をはじめました。フェアトレードの活動と同じように、フィリピン人がフィリピン人を支援するのを支援する、というのを大きなコンセプトにしました。緊急支援の場合、被災地の近くの人が迅速に動けるので、被災地の近くで支援したいと思っている人たちをサポートするかたちで、金銭的な支援を続け、2000世帯以上に物資の配給等を行いました。

http://www.cocowell.co.jp/fs/cocowell/c/hiyan

気候変動が脅かす食
台風30号(ハイエン)のような極端な気象現象は、地球温暖化に伴って今後も増加することが懸念されています。オックスファムでは、気候変動が与える食料への影響についての調査提言にも取り組んでいます。

◎オックスファム報告書(2014年3月25日発表)
「気候変動の脅威によって深刻化する飢餓〜世界の食料システムの備えを検証する〜」

◎Huffington Post Japan に投稿されたオックスファムのブログ(2014年3月27日公開)
「フィリピンを想い、横浜で考える食の未来」
http://www.huffingtonpost.jp/maiko-morishita/yokohama-ipcc_b_5040199.html


◎オックスファムのフィリピン緊急支援
オックスファムでは、水と衛生分野での支援を中心に活動しています。詳しい内容はこちら
レボリューション

水井さんが一番被害の大きかったレイテ島をたずねると、家屋などの崩壊だけでなく、中心的な被災地のタクロバンから60km離れた集落でも、ココナッツやバナナが至る所で倒れていました。1次産業が主体の島でのこの影響は大きく、今後、産業が衰退することが心配されます。そのなかで、現状で可能な仕事を作るために、倒れたココナッツの木を使ったカトラリーの小さな工場を作りたい、という計画が生まれたそうです。今後の進捗にぜひご注目ください。


http://coconut-diary.com


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地球規模での気候変動により、世界中で、とくに多くの設備をもたない小規模生産者が影響を受けることが必至となっています。農産物の乾燥が上手くいかない、生育が良くない、という声はすでに途上国のいたるところで聞こえていますが、大規模な災害なども含め、どんなふうに助け合っていくかどうか、南と北が手をとりあって考えていく必要性を、今回の災害は訴えかけている気がします。