TOP レボリューション Vol.9 コーヒー

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コーヒーレボリューション

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エクアドルの土地の歴史

南米エクアドル西部、コタカチ=カヤパス生態系保護区に隣接するインタグ地方には「熱帯雲霧林」とよばれる、世界でも他に類を見ない生態系が広がっています。雲と霧がもたらす湿度が高く、高度ごとに違った植生を見せるため生物多様性が極めて豊かな「ホットスポット」にも指定されています。特に蘭の多様性では群をぬき、熊やハチドリといった珍しい動物が多数生息しています。

人々はこの土地で農業を基盤に、まわりの人たちとコミュニティを作り、暮らしをたててきましたが、90年代に、この地域に多量の銅が発見されました。金やモリブデン(携帯電話等に使われるレアメタル)なども発見され、以降、多国籍企業が次々に訪れては、その鉱脈をねらうようになりました。

開発側により計画されているのは露天掘り鉱山。90年代に国際協力事業団JICAが報告した環境アセスメントによると、近隣の4つの村の立ち退き、2000haの森が消失する他、川も重金属(鉛、ヒ素、クロムなど)によって強い汚染を受けており、実際に試掘の段階で、子どもが皮膚病にかかったり家畜が水を飲んで倒れるなどの被害も出ました。開発側はこの地域で、医療や教育が整備されていないことや、土地の持ち主などについての明確な資料が不足していることなどに付け込み、開発を進めようとしてきます。

AACRIの創立者、カルロス・ソリージャ

そこで、レボリューションを進めているのが、カルロス・ソリージャ。鉱山開発に反対し、その代替案として、ここでのコーヒー栽培の可能性を提言しました。彼はまず森林保護のNGOを立ち上げ、別組織としてコーヒー生産者組合AACRIを設立。「組織が存在するその地域の住民が参加する」“草の根”こそが、成功の鍵と信じ、地域住民やエクアドル内外の活動家と組んで森を守りながらコーヒーを産業にすることに挑戦しました。

AACRIの活動

AACRIは、約500世帯の家族に対してコーヒー栽培の技術指導を行っています。森の中にコーヒーを植えたり、コーヒーと果樹などを混栽することで、森のような生態系をつくりだす、様々なレベルでの「森林農法」、アグロフォレストリーを生産者に提案し、質の高いコーヒー豆をつくることに成功しました。

新たなコーヒー栽培

一般的なコーヒー栽培においては、森を切り開き、単一品種を栽培するため、農薬や化学肥料が必要になりますが、この方法では鳥や蜘蛛、他の木々の落ち葉や微生物など、本来のバランスのとれた生態系にコーヒーが加わる形なので、農薬や化学肥料も必要ありません。もともとコーヒーの木は森の中に自生していた作物であるため、同じような日陰では、より香りの良い豆ができます。

コーヒー栽培と、豊かになった森を見せるツーリズムや女性たちの手仕事による産業を組み合わせることで、現金収入を得ますが、同じ農地の中でバナナやアボガドなどの自給作物も収穫できるため、換金作物による収入だけに依存する、これまでのコーヒー貿易の形とは異なります。

しかし、近年では、気候変動により収穫量が変動し、その基盤が揺らいでいるのも事実です。DECOINは雲や霧が生まれる、隣の地域の保護活動にも取り組み始めました。地域の生態系をあるがままに守ることが、質の良いコーヒーを生産し続けることにつながっています。

日本での活動

日本では、環境NGOナマケモノ倶楽部が、カウンターパートになっています。関連企業各社でコーヒーを流通させるだけでなく、「スローカフェムーヴメント」を展開し、全国に居る会員さんの運営する小さなカフェで、美味しいコーヒーを出すと共に、スローライフなどをテーマにしたイベントを開催しています。自分の生活や環境破壊が、日本と遠く離れたインタグという小さな地域とも大きな関係があるのだ、ということに気づくきっかけにもなっています。

写真 *カフェコタカチ コーヒーに関する国際会議で、生産者と共に会場内で期間限定のカフェを運営、ナマケモノ倶楽部関連企業のslowwatercafeが、コーヒーを飲む生産者の写真と感想、森を守ってください!というメッセージを張り出しました。

コーヒー生産地域

世界でコーヒーが生産されているのは、赤道を中心とした北緯25度と南緯25度の「コーヒーベルト」といわれる地域です。そのなかで標高が高い地域ほど、良質なコーヒーが収穫できると言われています。現在、世界のコーヒー生産量トップはブラジル、そのほかアフリカや東南アジアでもコーヒーは生産されています。

コーヒー生産と小規模農家の現状

発展途上国と呼ばれる国々のコーヒー生産者の多くが、小規模農民です。コーヒー農家に支払われる価格は1990年代後半より恐ろしいほど低下し、2001年の末には30年来の安値となり、「コーヒー危機」が世界の小規模コーヒー農家を襲いました。生産にかかるよりも安い値段で売らざるを得ず、困窮した農家は、土地を手放さざるを得なくなったり、出稼ぎのために家族がばらばらになりました。

1927年に当時の宗主国・フランスによって東南アジアの内陸国・ラオス南部のボラベン高原にもコーヒー栽培が、導入されました。コーヒーに適した標高の高さ、気候、栄養豊富な土壌に目をつけたのです。ラオスのコーヒーの95%がボラベン高原で生産され、この地域の一大農産物となっています。

世界的なコーヒー危機はコーヒー農家にも襲いかかりました。コーヒー価格が下落したため、コーヒー農家は借金を背負い、子どもたちが学校へ行けなくなり、コーヒー畑は荒れ放題になりました。このような状態のときにオックスファムがコーヒー生産増量と有機栽培のコー ヒー質の改善とコーヒー農家の収入向上を目指すプロジェクトを村の人とともに開始しました。

コーヒー農家へのオックスファム・ジャパンの活動

現在、支援するボラベン高原のコミュニティは当初の5カ村から7カ村に拡大され、コーヒー農家400世帯が参加しています。オックスファムは、コーヒー農家が生産者グループを作ることを支援し、その能力強化を行っています。そして、経営や経理、マーケティング、交渉技術などの研修、コーヒーの質と生産量を高める技術や焙煎技術の研修を実施するとともに、コーヒーだけの収入に依存しないように、野菜や生姜など、換金作物の多様化を支援しています。オックスファム・ジャパンは、日本の市民からのご寄付により、このプロジェクトを資金面で支援しています。

途上国における土地収奪の問題
◎土地略奪
途上国において急増するこうした土地売買の結果として、貧しい農民の強制的な立ち退きが今、深刻な問題となっています。世界銀行は、自ら投資を行うだけでなく、こうした案件の投資基準を世界的に示すことのできる立場にあります。このような問題のある土地の売買(土地収奪)を防止するため、世界銀行は、自らの土地投資案件を一時的に凍結し、その基準や政策を見直すべきです。オックスファムは、世界銀行に対し、広がりを見せる「ランド・ラッシュ(land rush)」に対する歯止めを掛け、明確かつ適切な投資基準を提示すべきだと訴えます。

◎気候変動と途上国の問題

◎森林農法
森林農法とは、森を切り開いて農地にするのではなく、森のなか、または森のような生態系をつくりながら、コーヒーやカカオなどの換金作物を植え、自給作物であるバナナ、アボガド、パパイヤ(他にも材木や薬になる樹々など)数十種類の植物を、換金作物と一緒に育てる栽培方法です。

◎フェアトレード
人権や環境に配慮した、対等な貿易のパートナーシップ。アジア、アフリカ、中南米などの女性や小規模農家をはじめとして、社会、経済的に立場の弱い人びとに対して仕事の機会を創出し、公正な対価を支払うことで、自立した暮らしを営めるように支援する。

参考:オックスファム・インターナショナル著「コーヒー危機 作られる貧困」筑波書房、2002年刊
レボリューション
1)12月16日、「フェアトレード」をテーマにしたアースデイマーケットで、エクアドルのフェアトレードコーヒーの麻袋をつかった横断幕が飾られます。ここに土地収奪に取り組むoxfamの資料も掲示し、土地収奪に対抗し、オルタナティブな産業をつくる、いわゆる途上国とよばれる国々の人々への連帯をあらわします。
アースデイマーケットに参加する

2)フェアトレードをリクエストして、貿易のあり方を変えよう!
コーヒーショップで「フェアトレードのコーヒー」をリクエストしてみよう。
小売店で「フェアトレードのコーヒー豆」をリクエストしてみよう。
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カルロスが資金難で困っています。土地収奪に対するアクションの一貫としても、オックスファムのインターナショナルなネットワークを活かして、この写真集(写真素材)を何かに(謝礼ありとかで!)使ってもらう、この記事を英訳するなど、何か海外からの支援につなげるアイデアないでしょうか?